精神科専門医 第11回31番 睡眠障害

オレキシンと関連のある疾患についての問題です。各疾患と何らかのバイオマーカーとの関連についての問題というよりは、オレキシンと関連のある疾患を知っているかどうかというサービス問題です。
今回は第11回17番です。
正解はbです。


解説

a

うつ病の診断基準となるようなバイオマーカーは同定されていません。

b

オレキシンは覚醒に関わるペプチドですが、この欠乏がナルコレプシーに関与していることが知られています。
ちなみに、その機序を利用した睡眠薬がスボレキサント:ベルソムラ®、レンボレキサント:デイビゴです。
ナルコレプシーを実際に診断した経験がある精神科医は少ないと思います。ナルコレプシー、カタプレキシー、金縛り、入出眠時幻覚、Sleep onset REMなど、キーワードだけでも知っていると問題は解けるでしょう。

c

レビー小体型認知症はα-シヌクレインとの関係について知っておく必要があります。

d

睡眠時無呼吸症候群について、臨床上有意義な何らかのバイオマーカーは同定されていません。PSGの検査所見として一時間当たりの無呼吸・低呼吸指数であるApnea Hypopnea Index(AHI)は知っておくと良いでしょう。

e

アルツハイマー型認知症はアミロイドとタウについて知っておく必要があります。
アミロイドは老人斑、タウは神経原線維変化と関係しています。
私はこの二つが非常に覚えにくいので、タウと言えばタウオパチーのPrimary age related tauopathy→神経原線維変化型老年期認知症と関連させて、タウ→神経原線維変化と記憶しています。


感想
今回の問題はナルコレプシーとオレキシンをキーワードとして知っておくと解ける問題でした。今後、「髄液」、「低下」と言った点を絡めた問題が提出されるかもしれません。
また、ナルコレプシーでは、必ずしも髄液中のオレキシン濃度が低下するわけではない点も知っておく必要があります。

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