精神科で通常診療を行っていても睡眠関連疾患について学ぶ機会はあまりありません。レビー小体型認知症の診断基準にレム睡眠行動障害(異常症):RBDが含まれたことから、今後もRBDに関連した問題が出題されることが予想されます。
今回は第11回17番です。正解はa,dです。
解説
a
睡眠驚愕症はノンレムパラソムニアに分類されています。睡眠時の異常行動はパラソムニア(睡眠時随伴症)に分類されます。
このパラソムニアはノンレム睡眠期に起きるものと、レム睡眠期に起きるものに大別されます。
ノンレム睡眠期:睡眠時遊行症(夢遊病)、睡眠時驚愕症、睡眠関連摂食異常症
レム睡眠期:レム睡眠行動障害(異常症)
b
クロナゼパム(ランドセン®、リボトリール®)、ラメルテオン(ロゼレム®)、抑肝散が治療に使われます。睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の患者でRBDに似た症状を呈すること、OSASの患者にクロナゼパムを投与するとOSASを増悪させうることには臨床上注意が必要です。
c
αシヌクレインの蓄積と関連するパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症で前駆症状としてRBDが出現することが知られています。
d
RBDは夢内容に連動して睡眠中に動くことが特徴的です。必ずしも覚えている訳ではないものの、夜間の異常行動時に刺激により覚醒し夢内容が早期可能かどうかはRBDをてんかんなどその他の疾患と鑑別する上で重要なポイントとなります。e
これはRWA(Rem sleep without atonia)と呼ばれている、RBD患者にPSGを行ったときに得られる所見です。通常、レム睡眠時は筋トーヌスが低下していますが、その低下を伴わないことでレム睡眠中に夢と連動して動くと考えられています。
RBDは今、レビー小体型認知症の診断基準に入ってしまったこともあり、認知症領域でtopicになっています。これからも出題が予想されるため、一度RBDについては包括的に勉強しておくことが望ましいですね。
0 件のコメント :
コメントを投稿