1980年代に提唱されたこの神経発達障害仮説(neurodevelopemental theory)は今ではASDや他精神疾患との遺伝学的なoverlapがあるという知見からその妥当性については注意を要する仮説…というよりは積極的な支持はされていませんが、素養として知っておく必要があるということでしょう。
今回は第9回29番です。
正解(不適切なもの)はc, eです。
解説
ここでは標準精神医学、現代臨床精神医学に記載されている内容をまとめます。①
死後脳において大脳皮質の神経細胞構築異常があり、グリオーシスを伴わない②
発病前からの脳構造変化を認める③
幼少期から注意、言語などの発達の遅れ、器用さや社会性の乏しさなどの行動特徴を認める④
微細神経学的徴候、微細な身体形成異常や皮膚紋理の異常を認める現在の視点から見れば自閉スペクトラム症などの神経発達症圏の疾患を想起させる記載も見られます。この仮説の主眼は、統合失調症発症は胎生期など早期からの神経発達障害によって引き起こされ精神症状が前景化するものの微細な発達行動上、身体上の異常も観察によって発見しうるのではないか、というものです。そういった観点からも問題の選択肢が選べます。
a, b, d
上記の通り、仮説の前提となるそのものです。c
進行する認知機能の低下は直接的に仮説の主眼を支持する所見ではありません。e
死後脳でグリオーシスを伴わないのが特徴ですね。参考:現代臨床精神医学
統合失調症の神経発達障害仮説に関しては、知っていても実臨床ではあまり役にはたたないでしょう。ただ、精神科医としては歴史的な背景を知っておく必要もあるので、専門医試験を通して確認しておきましょう。
また、上でも述べている通り、ASDや他精神疾患との遺伝学的なoverlapがあるという内容のほうが重要かもしれませんね。
また、上でも述べている通り、ASDや他精神疾患との遺伝学的なoverlapがあるという内容のほうが重要かもしれませんね。
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