精神科専門医 第9回85番 薬剤

ベンゾジアゼピン系薬剤の使用における注意点が問われている問題です。選択肢と文意から使用禁忌である(ことが多い)ものが2つあるので、それを選べばよいと判断できます。

今回は第9回85番です。
正解は d, e です。


解説

ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗不安薬は多数存在しますが、そのほとんどは「重症筋無力症」「急性閉塞隅角緑内障」のいずれとも使用禁忌となっています。処方の際には既往歴を確認することが重要ですね。

また一般的にベンゾジアゼピン系薬剤がCYP代謝であるために、肝機能障害者では副作用が出る可能性があります。そのため選択肢c「肝機能障害患者」であったも使用には注意すべきであると考えられますが、禁忌となる選択肢が2つあるので、そちらが優先されるでしょう。

精神科薬理学についての知識もいずれまとめてサマライズする予定ですが、
いまはベンゾジアゼピン系薬剤について簡単なまとめを以下に載せます。

ベンゾジアゼピン系薬剤の禁忌

①重症筋無力症、急性閉塞隅角緑内障

ほとんどの薬剤で禁忌
 ※エスタゾラム(ユーロジン®)は急性閉塞隅角緑内障が禁忌ではない

②閉塞性睡眠時無呼吸症候群

クアゼパム(ドラール®)

③重篤な肝障害

ゾルピデム(マイスリー®)
※一般にBZ系薬剤は肝代謝なため、肝機能障害者では注意して用いる必要があります。
 ※ロルメタゼパム(エバミール®等)、ロラゼパム(ワイパックス®)はCYP代謝が関与しないため、肝機能障害者でも比較的安全に用いることができます。
ロラゼパムがグルクロン酸抱合を受ける話は有名ですね。


この問題は正解するだけなら簡単ですが、よく使用する抗不安薬についての知識を再確認する機会になるでしょう。
精神科医は薬物療法のみではありませんが、どうしても向精神薬についての知識が求められるので、専門医試験を機に勉強しておきましょう。


第9回 解答一覧


目次です。各記事まとめもあり。

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