精神科専門医 第9回80番 薬剤

抗うつ薬の使用禁忌にかかわる問題です。
緑内障への使用においては主に抗コリン作用が問題になってくることが多いですが、抗コリン作用がある=禁忌と直結しないため注意が必要です。各論的に覚えていくほかないでしょう。

今回は第9回80番です。
正解は a, d です。



解説

緑内障患者への使用禁忌となっている抗うつ薬は、以下の通りです。
三環系抗うつ薬
 アミトリプチリン
 クロミプラミン
 イミプラミン
 ロフェプラミン
 ノルトリプチリン
 トリミプラミン
 アモキサピン
 ドスレピン
四環系抗うつ薬
 マプロチリン

緑内障、心筋梗塞回復初期に使用禁忌となっている抗うつ薬は同じです。
三環系抗うつ薬+マプロチリン」と覚えておくようにしましょう!


緑内障、心筋梗塞回復初期に禁忌である抗うつ薬

 ① 三環系抗うつ薬
 ② マプロチリン

なお、四環系抗うつ薬の中でも、ミアンセリンやセチプチリンは禁忌となっていません。


薬剤禁忌に関する問題ですが、新規で精神科専門医取得を目指す層にとっては馴染みがあまりない問題になるのではないかと思います。
恥ずかしい話ですが、私も上記の薬剤で新規投与したことがあるものは、クロミプラミン(アナフラニール®)とアミトリプチン(トリプタノール®)だけです。
クロミプラミンは点滴投与が可能だったりナルコレプシーの情動脱力発作(カタプレキシー)に有効だったりという点や、アミトリプチンは鎮静作用と末梢神経障害などの鎮痛作用を期待するという点で使用経験があります。


現在は第一選択薬となることが少ない上記の抗うつ薬ですが、これでしか症状が改善しない患者や元々これらの薬剤で治療されている患者の対応をする場合があるため、やはり知識としては必要になるということでしょう。
全てを把握することは不可能なので対応する都度、添付文書の確認をすることが重要ですね。



第9回 解答一覧



目次です。各記事まとめもあり。

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