精神科専門医 第9回55番 統合失調症

統合失調症の疫学的な問題です。
知っているか知らないかという問題ですが、精神科医としての素養の要素があるので確認しておきましょう。

今回は第9回55番です。
正解はd.eです。


解説

a

人口100万人以上の年では統合失調症の有病率と人口密度に相関があると報告されています。
また、都市と農村に関しては、統合失調症の片親・両親をもつ子供の統合失調症発生率が都市部で2倍になるという観察結果があります。
都市環境のストレスが原因ではないかと示唆されています。

b

好発年齢は男女で異なります。

男性

10~25歳

女性

25~35歳と中年期の好発年齢のピークが二つ

この選択肢は女性の特徴についてです。

c

統合失調症は冬や早春に出生した人々で多い傾向があり、逆に晩春や夏に出生した人々で少ない傾向があると知られています。

統合失調症の原因としては下記が報告

妊娠中および出産時合併症
インフルエンザ流行への暴露
妊娠中の母体の飢餓
Rh因子の不適合
冬季出生

d

性差
男性は陰性症状を生じやすい
男性患者と比較して、女性患者は発症前の社会生活機能が優れている傾向がある
男性患者と比較して、女性患者は統合失調症の転帰が良好な傾向がある

この選択肢は正解です。

e

統合失調症患者の第1度近親者における発症リスクは、一般集団の10倍としられています。
ちなみに、統合失調症患者の受胎率は一般集団と同程度です。


この問題はカプラン臨床精神医学テキスト 第3版のP341-342から作成された問題です。
全く同じ内容が記載されています。
この問題を通して下記の知識を確認しておきましょう。


統合失調症は農村より都市で多い

好発年齢は男性が10~25歳、女性が25~35歳と中年期とピークが二つ

冬や早春で統合失調症の有病率が増加し、インフルエンザ感染症との関係も考えられている

男性患者と比較して、女性患者は発症前の社会生活機能が優れている傾向がある

統合失調症患者の第1度近親者における発症リスクは、一般集団の10倍


はい、そのままですね。


参考
カプラン臨床精神医学テキスト 第3版


第9回 解答一覧


目次です。各記事まとめもあり。

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