精神科専門医 第9回97番 リエゾン

今回は第9回97番です。
ステロイドは身体疾患の治療において無くてはならないものとなっています。
緩和ケア領域でも重要な薬剤となっており、自ら処方する場合もあれば、この設問のようにステロイド精神病で悩まされるといったケースもあると思います。
この設問を通してステロイド精神病についての基本事項を学びましょう。

正解は d.e です。



解説

a

英国の1990~2008年の間にプライマリケア成人患者の調査で、ステロイドを使用していた患者はステロイド未使用の患者(年齢,性,基礎疾患,精神病の既往歴を一致)と比較して、うつ病は1.83倍、躁病は4.35倍、せん妄・錯乱または見当識障害は5.14倍、ニック障害は1.45倍の発症率で、自殺既遂・企図のリスクは7倍と報告されています。


b

躁状態、抑うつ状態、幻覚・妄想状態、せん妄などの様々な精神症状を来たします。
特に不安感や焦燥感を伴うことが稀という報告はありません。

c

ステロイド精神病は、投与開始から数日~2週間後に症状が出現することが多いといわれています。
当然、投与して一ヶ月に絶対に起きない訳ではありませんが、上記の期間に起きることが多いですね。


d


・psychosisの発症
プレドニゾロン40mg/day以下では1.3%
プレドニゾロン40~80mg/dayでは4.6%
プレドニゾロン80mg/day以上では18.4%

精神障害を発症した患者での平均投与量は59.5mg/dayで、うつ状態や不安障害についても同様の用量依存性の傾向を認めると報告されています。
当然ですが、少量でもステロイド精神病を認めることに留意してください。

また、吸入ステロイドでもステロイド精神病が起こりえるという報告もされています。

e

プレドニゾロンは主にCYP3A4によって代謝されます。
そのため、CYP3A4阻害作用のある薬剤と併用を行うと、プレドニゾロンの血中濃度が上昇するためステロイド精神病の発症リスクが高まると考えられます。



ステロイド精神病についての問題でした。
私自身、この問題について調べていると新たな知識が多くて驚きました。
特に、ステロイドの使用と自殺既遂・企図の関係についてや、40mgを境にしてステロイド精神病の発症リスクが跳ね上がることなどは知りませんでした。

ステロイド精神病はリエゾン領域で時折遭遇しますが、このようなデータを背景にして主治医と議論ができれば格好いいですね!




参考
・副腎皮質ステロイド 薬局 2015 vol.66. No.11
・Fardet L, Petersen I, Nazareth I. Suicidal behavior and severe neuropsychiatric disorders following glucocorticoid therapy in primary care. Am J Psychiatry. 2012;169:491-497.
・Acute adverse reactions to prednisone in relation to dosage - - 1972 - Clinical Pharmacology & Therapeutics - Wiley Online Library. 
・Türktaş L, Gücüyener K, Ozden A. Medication-induced psychotic reaction. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 1997;36:1017-1018.



目次です。各記事まとめもあり。


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