精神科専門医 第9回86番 認知症

レビー小体型認知症(DLB)の問題です。


今回の問題は第9回の86番です。
正解はdです。

DLBは2017年に診断基準が変更されました。復習しておきましょう。


エーザイのHPより引用

a.e

DLBの中核的特徴です。

・認知機能(注意・集中)の変動

DLBの認知機能の変動は、日によってぼんやりする、頭がはっきりしないという軽い認知機能の変動もあれば、全く反応がなくなるといった症状から様々です。

・繰り返し出現する具体的な幻視

具体的な幻視によって、「部屋に子供がいる」、「布団に人がいるから眠られない」、「知らない人がいて、配偶者が浮気をしているに違いない」というような訴え起きます。
この症状を背景として、不眠になったり、嫉妬妄想が出現したりすることもあります。

・誘引のないパーキンソンソニズム

パーキンソニズムが出現するため転倒リスクがあがります。
誘因のないというのは、明らかな薬剤性や脳血管性のパーキンソンニズムに注意が必要ということですね。
制吐薬やスルピリドといった薬剤は精神科以外で処方され、パーキンソンニズムの原因となるため注意が必要になります。

・レム睡眠行動異常症(RBD)

レム睡眠行動異常症はパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症といったシヌクレイノパチーの発症に先行して出現することがしられています。どれくらい先行するかというと、10年以上も先行して出現するという報告がありますね。
症状としては、本体は抗重力筋の活動が停止しているレム睡眠期に筋活動が出現します。

RBDの患者では喧嘩や追いかけられるといった夢と連動して、睡眠したままで身体活動が出現するため非常に危険です。

b.c

DLBの支持的な徴候は多いですが、ある程度はまとめて理解しておきましょう。

抗精神病薬への過敏性
薬剤過敏性は有名ですね。錐体外路症状や過鎮静が起きやすいケースがあるため薬剤は少量から使用しましょう。
中には、風邪薬に含まれている抗ヒスタミン薬で眠たくなる方もいます。

※私の経験した症例では、(他院で処方された)ミアンセリン10mgで30時間以上睡眠していた症例や、クエチアピン5mg程度で鎮静が可能だった症例もあります。


姿勢反射障害、繰り返す転倒

パーキンソン病と同様ですね。


過眠、失神や一過性に応答が悪くなったエピソード、重度な自律神経失調症状(便秘)

自律神経障害や意識の変動の反映でしょうか。


幻視以外の幻覚、体系的な妄想、アパシー、不安、うつ

精神症状


嗅覚障害

パーキンソン病と同様ですね。



d


DLBは、初期は短期記憶が保たれている点がアルツハイマー型認知症との大きな鑑別点の一つです。

変動する認知機能障害の影響で、日によって、時間帯によって変動はありますが・・・。

しかし、視覚認知の障害は生じているケースが多く、錯綜図やパレイドリア試験が異常所見となる場合があります。




DLBの一般常識的な問題です。
これは一般臨床をしている精神科医であれば、まず間違うことは無いでしょう。

0 件のコメント :

コメントを投稿