高次脳機能障害には二つの意味合いがあるため、どちらの内容で問われても正答できるように勉強しておきましょう。
今回は第9回91番です。
正解はc.d です。
解説
そもそも、高次脳機能とは言語、行為、知覚認知、記憶、注意、判断、情動などの機能を指します。そして、高次脳機能の障害とは、失語、失行、失認、記隠障害、注意障害、遂行機能障害、情動障害などを意味しています。
認知症など、あらゆる疾患で上記の症状に影響が出た場合に高次脳機能障害と呼ばれます。
認知症など、あらゆる疾患で上記の症状に影響が出た場合に高次脳機能障害と呼ばれます。
第1章 高次脳機能障害 診断基準ガイドライン |
これのテーマは2001年より厚生労働省で始まった高次脳機能障害支援モデル事業が背景にあります。
障害福祉制度では、麻痺などの身体障害を合併していない場合は、既存の障害者支援制度のなかでサービスを受けにくかったため、行政的に高次脳機能障害に対する医療・福祉サービスの体系を整備しようという目的で、高次脳機能障害診断基準が示されました。
その為、前述の高次脳機能障害という純粋な脳機能の問題ではなく、障碍者支援制度の受け皿から漏れた方を拾うための制度になっています。
上記のガイドラインを見ればわかる通り、「器質的な疾患」で、「身体ではなく脳機能の問題で日常生活に支障が出」ており、「進行性ではないこと」が条件になっています。
「周産期ではない」などの条件も各自確認しておきましょう。
a.b.e
上記の説明を見てもらうとすぐに誤りであることがわかるでしょう。
統合失調症や高機能自閉症は器質的な疾患ではありません。
アルツハイマー型認知症も器質的疾患ではありません。ただ、初めに説明したとおり、認知症では脳機能としての「高次脳機能障害」を認めるため、わけて理解をしておく必要があります。
c.d
前交通動脈瘤破裂はくも膜下出血の原因となりやすい部位ですね。人格変化の症状など、身体的な症状を認めない場合でも社会適応が困難となることで救済制度が必要となります。
びまん性軸索損傷は高エネルギー外傷などで生じる脳損傷ですが、こちらも同様に認知機能障害や人格変化をきたし、社会適応が困難となることで救済制度が必要となります。
頭部MRIで評価が可能な疾患ですね。
今回は、厚生労働省の定める高次脳機能障害についての原因疾患についての設問です。
解答するには、この「厚生労働省の定める」という枕詞のついた高次脳機能障害についての知識が必要となります。
繰り返しにはなりますが、「器質的な疾患」で、「身体ではなく脳機能の問題で日常生活に支障が出」ており、「進行性ではないこと」が条件ということを頭に叩き込んでおきましょう。
参考
第1章 高次脳機能障害 診断基準ガイドライン第9回 解答一覧
目次です。各記事まとめもあり。
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