ICD-10に準拠した不安障害圏を主とする疾患とその特徴との組み合わせの正誤を判定する問題です。
正解(誤っているもの)は c, e です。
解説
ICD-10に準拠した不安障害圏を主とする疾患とその特徴との組み合わせの正誤を判定する問題です。問題文の用語はICD-10の診断ガイドラインに記述された用語が多く用いられているので、そこまで正誤に迷わないでしょう。
a
ICD-10において、社会恐怖(社交恐怖)は他の人々から注視されることへの恐れを中核とし、通常低い自己評価、批判されることに対する恐怖と関連しているといった記載がなされています。よって「社交恐怖と低い自己評価」には関連性があります。b
ICD-10において、全般性不安障害は全般的かつ持続的に、いかなる特殊な周囲の状況にも限定されない(すなわち自由に浮動する)不安であるといった記載がなされています。よって「全般性不安障害と浮動する不安」には関連性があります。c
ICD-10において混合性不安抑うつ障害は、不安と抑うつがそれぞれ存在するが、どちらも別診断を適用するほど重篤でないような状態を記述するのに用いられ、この障害を満たす症状が生活文化やストレスとなる出来事と密接に関連しているのであれば、この診断基準でなく適応障害のカテゴリー診断を用いるべきである、といった記載がなされています。よって「混合性不安抑うつ障害とストレス因」には直接の関連はありません。d
ICD-10において広場恐怖は単に開放空間に対する恐怖ばかりでなく、群衆がいるとか、安全な場所にすぐ容易に逃げ出すことが困難であるなど、空間に関連する状況に対する恐怖も含まれています。よって「広場恐怖と助けを得られない状況への恐怖」には関連性があります。e
意識野の狭窄は強いストレス因による衝撃のあとただちに見られるICD-10においては急性ストレス反応の一連の経過で見られるものです。よって「PTSDと意識野の狭窄」に直接の関連性はありません。※具体的に明言はいたしませんが、某所で提示されている回答では本問の正解は「c, d」になっています。この問題については上記のように明らかにICD-10の診断ガイドラインにも明記されていることので、注意してください。
不安障害に関連する問題についてですが、なじみの無い分野のためか私には非常に難しく感じました。
恐らく、a.b.dは正しいと思うためc.eが答えなのではないかと判断しますが、正直なところ自信がありません・・・。
専門医試験に合格するという目的であれば、当然ですがすべての問題に正解する必要はありません。
しかし、精神科医としての一般的知識は臨床において重要になるため、これを機に一度は目を通しておくと良さそうですね。
第9回 解答一覧
目次です。各記事まとめもあり。
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