今回は精神科専門医試験の概略について説明します。
この記事の内容です。
・まとめ
精神科専門医試験の概略について説明した。
各カテゴリーの出題頻度を調べた。
出題頻度の高いカテゴリーと低いカテゴリーに関して、出題の傾向を調べ対策方法を考えた。
この専門医試験は第1回が2009年に行われました。
2018年の現在までに精神科専門医認定試験は計10回施行されています。
この過去問に関しては、日本精神神経学会のホームページ上で日本精神神経学会の会員に対して公開されています。閲覧には会員IDとパスワードが必要です。
(公開されているものは第9回までになります)
◇過去9回分の問題分析
一般選択肢問題は毎回100問程度出題されています。それらを当チームで大まかに分類し、各分野別での出題動向を探ってみました。
各カテゴリーは以下のように分類しています。
複数の分野にまたがると思われる場合については、より中心的と思われるテーマに基づいて分類を行いました。(多少の誤分類はあるかもしれません)
総論的事項
-X1:精神療法
-X2:薬物療法など
*電気けいれん療法など精神療法でないものをすべて含む
*NMS、RLSなど薬物療法の副作用もこちらに分類した
-X3:症候学・精神病理・検査
-X4:精神医学史
-Y1:精神科救急・リエゾン
-Y2:精神保健・福祉・法律など
-Y3:地域精神医療・リハビリなど
各論的事項
- A:統合失調症
*純粋な症候学・薬剤適応などは総論へ
*薬物治療の寛解率・予後などより疾患寄りのものはこちらへ
- B:気分障害
-C1:不安障害
*恐怖症、パニック症など含む
-C2:強迫性障害
-C3:PTSD・適応障害などストレス障害
-C4:解離性障害
-C5:身体表現性障害
-D1:摂食障害
-D2:睡眠障害・性機能障害
-D3:産褥関連精神障害
*精神障害合併妊産婦も含む
*周産期・授乳における薬剤的事項もこちらに一元化した
-E1:人格障害
-E2:習慣・衝動障害
*抜毛、病的放火などを含む
-E3:性同一性障害・性嗜好障害
-F1:発達障害(ASD、ADHDなど)、知的障害
-F2:その他の児童期精神障害
*児童期の気分障害などはこちらへ含む
*児童期特有の選択緘黙などもこちらに含む
-G1:認知症
-G2:せん妄
ーG3:器質性精神障害
-G4:てんかん
*てんかんは独立してこの分類とした
- H:アルコール・精神作用物質
*アルコール関連(総論・治療介入など)はこちらに含んだ
*ステロイド、違法薬剤もこちらに含んだ
それぞれで第1回~第9回までの問題を上記の分類に従って分類しました。
◇出題傾向―出題の多いカテゴリーは!?
頻出分野に関しての出題率は毎年一貫しています。1位 薬物療法(X2:約13-15%)
2位 気分障害(B:約9%)
3位 統合失調症(A:約7-9%)
各カテゴリーごとの出題傾向に関する詳細な分析は別記事に譲ります。
これらの問題を得点する為に重要な点は
・各疾患、薬物に関する基礎的な知識を身につける
・専門医試験で繰り返し出題されているテーマに関しては個別に記憶する
という点です。
また、初見での解答は難しくても、頻出問題は一度覚えれば簡単に得点できるという点が重要ですね。
※補足
神経症圏(いわゆるICD-10 F4圏:上分類ではC1~C5)は、個別の疾患については多くありませんが、すべて合わせると約10%強となります。
◇ランキング下位のカテゴリーの特徴!!
毎回、1問や2問程度しか問われないカテゴリーも多くあります。D3(妊娠・出産関連) :平均2-3問程度
E3(性同一性障害・性嗜好障害):平均1-2問程度
X4(精神医学史) :平均1-2問程度
・・・など全100問近くある問題の中で占める割合が非常に小さいカテゴリーです。
これくらいの出題頻度なら、いわゆる「捨て問」と割り切って偶然解ければいい、と割り切ってしまう方も多いでしょう。
もちろん、そのような考え方も一つではあります。
しかし、これらの問題は対策で正答率が大きく変わるため「捨てるには勿体無い」ですね。
では、問題の特徴について確認しましょう。
問われている内容は以下の3つのパターンがほとんどです!
①「一般的知識」の範疇で解けるもの
②「診断基準」に目を通しておけば正答が容易なもの
③例年繰り返し類似の内容が問われているもの
そのため、診断基準に目を通し、頻出問題を確認しておけば、正解できる可能性はグッと高くなり周囲の受験生と差がつかないと考えられます。
・まとめ
精神科専門医試験の概略について説明した。
各カテゴリーの出題頻度を調べた。
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