精神科専門医 第9回28番 パニック障害の鑑別診断

パニック障害の鑑別診断に関する問題の解説です。
今回の問題は9回の28番です。

正解はd.eです。

この問題が出題された意図は、パニック発作と類似した疾患に注意が必要というテーマが背景に存在しているでしょう。
簡単に言えば、身体疾患からのパニック発作の類似症状をパニック障害と診断することを防がなければいけないという考えですね。


そのため、パニック発作についての知識は必要なので、この症状だけ簡単に説明します。
パニック発作は、突然の息切れ、過換気、窒息感、動機、頻脈、離人感などで、その際に死・発狂の恐怖を感じます。

この疾患と類似したものの詳細については

カプラン臨床精神医学テキスト DSM-5診断基準の臨床への展開 第3版 

を参照してください。
多すぎてここには書ききれません・・・。


では、各設問について考えて見ましょう。


a.b.c

狭心症

狭心症は心臓疾患で、突然の胸痛、頻脈、冷や汗が出現します。
また、中年女性、糖尿病では胸痛が生じにくいこともあり、頻脈、冷汗、場合によっては
過換気になりパニック障害と間違われて、狭心症が見逃される場合があります。

致死的な疾患なので、この見逃しは絶対に避けましょう。


てんかん

精神症状を伴う部分発作があり、「精神発作」と呼ばれます。
側頭葉てんかんで多く見られますが、恐怖や幻覚、世界変容感を繰り返すことで、パニック発作と類似した症状を認めることがあり注意を要します。

てんかんとパニック障害の治療は大きくことなるため、常にてんかんを鑑別に考えた診療が重要になるでしょう。

インスリノーマ

インスリンの分泌によって低血糖となります。
冷汗、手の振るえなどが外的な誘引無く繰り返し生じるため、パニック発作と勘違いされることがあります。

インスリノーマに気づけるかは難しいですが、症状の出現タイミング、増悪寛解因子を問診して気づける可能性があります・・・。

d

甲状腺機能亢進症では、交感神経活性、易刺激性が亢進しておりパニック発作の合併を認めることがあります。
そのため、甲状腺機能亢進症はパニック障害との鑑別が必須となります。
本設問における甲状腺機能低下症とは関係がありません。

e

副甲状腺機能低下症がパニック発作との鑑別が必要とされています。
しかし、この理由についてはあまり記載がありません。
下記は私の予想になりますが、副甲状腺機能低下症になると低Ca血症になります。
イオン化Caの低下は皆さんがご存知の通り、テタニー、手足のしびれや痙攣の原因となります。この症状はパニック発作の過換気と類似した症状であるため、鑑別が必要になるという考えでしょう。
本設問における甲状腺機能低下症とは関係がありません。

上記の理由で、正解(誤っているもの)はd.eでしょう。



恐らく、この設問はパニック障害で出現するパニック発作と類似の症状を認める疾患には注意が必要と啓蒙することが目的の設問だと思います。そのため、上記の疾患でパニック発作と類似した症状を認めることに注目すれば理解しやすいですね。
他にも、「肺塞栓症」や「くも膜下出血」などもパニック発作と類似の症状を認めることがあるために注意が必要な疾患として有名ですね。


※具体的に明言はいたしませんが、某所で提示されている回答では本問の正解は「解なし」になっています。この問題については上記のように明らかにカプラン精神医学にも明記されていることので、注意してください。
 

第9回 解答一覧


目次です。各記事まとめもあり。

1 件のコメント :

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