精神科専門医 第9回16番 依存症

依存症に関する問題の解説です。
今回の問題は9回の16番です。

正解はa.cです。
では、各設問について考えて見ましょう。



a.c

イネーブリングというのは単純な言語の意味は「助力」という意味です。
一見、この言葉は非常にポジティブな響きを持ちますが、依存症診療においてはネガティブな意味合いで用いられます。
ちなみに、イネーブラーは「助力者」を意味します。

どういうことかというと、依存症の診療においてはこれらの言葉は「安心して依存状態を継続できる」ように助力するという意味になります。
つまり、患者一人であれば本来は「困ること」を周囲が手助けすることで解決してしまい、問題が浮上しないという状況が形成されます。
依存症の診療において、この「問題が浮上しない」という点が非常に重要になることは皆さんもご存知だと思います。

例えば

お金が無ければ依存を継続できないに関わらず、「暴れるから」、「うるさいから」といった理由で金銭を渡すこと

周囲とのトラブルや仕事の無断欠勤など本来は本人が対応する必要がある用件を、家族などが代理で対応すること

このように周囲が手助けをすることで、「依存状態」を続けられるように手助けすることがイネーブリングです。


b.d.e

これらの選択肢は、依存症の治療に対してのメリットがあります。


自助グループ


家族が自助グループに参加し依存症への理解を深めて、患者との付き合い方を学べます。
依存症の患者は周囲の支援者も巻き込んでしまいます。
診察室という一場面でしか患者と関わらない精神科医ですら、依存症の患者の診療、やり取りには大きなストレスを抱えています。
家族は患者にとって一番近い存在です。
患者に対して困っていて、それでも立ち直ってもらいたいと考えている立場であり、精神科医以上に様々な感情を掻き立てられてしまいます。

依存症という病気についての理解を深め、他支援者と関わるを持つことで、上記の様な感情についての対処が上手になることも考えられます。


警察

暴力に対して警察を呼ぶことで、本人が依存症に対して問題意識が芽生える可能性があったり、暴力を防ぐために金銭を与えるといったイネーブリングを避けたりできます。

本人に自助グループへの参加を促すことは、治療への手助けですね。


この問題は非常に簡単ですね。
薬物依存の症例は、精神科臨床をしていれば避けることは出来ないと思います。
この内容なら問題文を読み間違えない限り、正答率は100%でしょう。


第9回 解答一覧

目次です。各記事まとめもあり。

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