精神科専門医 第9回26番 ベンゾジアゼンピン系薬剤

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に関する基本的な問題です。普段から使用する薬剤なので、基本知識のおさらいをしておきましょう。


今回は第9回26番です。
正解はc.dです。


a

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の離脱症状は様々な症状を呈します。
不安、緊張、発汗、落ち着きのなさ、易刺激性、易疲労感、振戦、不眠、脱力感などで、全てを正確に暗記することは困難です。
アルコール依存症患者の離脱症状も同様ですが、もともとは脳の鎮静系を亢進させている状態なので、その作用が減弱した場合に呈する症状と考えると理解しやすいでしょう。


b

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には身体依存、精神依存の両方に注意が必要です。
1~2週間で、中等用量の使用であれば、明らかな耐性・依存・離脱は通常認められないとされています。


・身体依存


耐性の形成と個々の薬物に特有の退薬症状に基づきます。
継続的な薬剤摂取を中断した場合に、上記の様な退薬症状が出現します。

・精神依存

心理的な使用欲求や渇望感(craving)に基づきます。

薬剤の摂取に期待される効果が失われることを不安に思い、薬剤の減量や中止が困難になります。



c

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の健忘は一般的には「前向性」です。
健忘における「前向」は薬剤を飲んでからの内容についての、「逆行」は薬剤を飲む前の内容についての健忘を意味します。
薬剤摂取後の「人とのやり取り」や「食事」についての記憶が無くなるといったケースもあります。

※私たちも日常生活でこのような体験をすることはあると思います。
それは、飲酒です。アルコールの影響で健忘が生じることはありますが、流石に飲酒前の仕事や日常生活の内容まで記憶が飛んでしまうことはありませんね!

d

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用についての問題です。
細かい内容についての知識ですが、この問題だけに関して言えば抗不安薬の性質を考えれば正答が可能ではないかと思います。
この薬剤は日常的に服用して生活を送っている人は多いので、筋弛緩よりも健忘が生じやすいのであれば生活が成り立ちにくくなることが予想されます。


ちなみに、薬剤の用量と治療効果・副作用は下記のようになっています。
抵不安作用、抗けいれん作用、筋弛緩作用、鎮静・催眠作用、健忘作用などは使用量の増加に伴い、およそこの順序で出現します。

e

ロフラゼプ酸エチルの半減期は100時間程度です。
一方でエチゾラムの半減期は6時間程度です。
この時間の差を考えれば、エチゾラムで離脱症状が早く出現することは明白です。



今回はベンゾジアゼピン系抗不安薬についての問題でした。
この薬剤はうつ病、統合失調症、パニック障害など使用は多岐に渡りますが、身体依存・精神依存や、健忘や筋弛緩作用といった副作用、退薬による離脱症状など注意点も多いため、基本的な薬剤への知識を持った上で処方することが重要です。



参考
カプラン臨床精神医学テキスト 第3版
現代臨床精神医学  改訂第 12 版

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