精神科専門医 第9回72番 パーソナリティ障害

ICD-10における非社会性パーソナリティ障害は、DSM-5においてはB群の反社会性パーソナリティ障害に該当します。その治療的介入についての問題です。


精神科専門医 第9回6番 パーソナリティ障害こちらにA群、B群、C群についての簡単な説明があるため、参考にしてください。

今回は第9回72番です。

正解はc、eです。

解説
試験問題の作成者がカプラン精神医学を参照していることがよくわかる問題(?)です。ほとんどそのままの内容が記載されています。
とはいえ、読むには膨大すぎるカプラン精神医学なので、今後パーソナリティ障害についてもしっかりとサマライズしていく予定です。各選択肢を検討していきましょう。


a

薬剤は慎重に使われなければならない(薬物乱用者が多い)ですが、個々の不安、抑うつ、怒りなどの軽減を行うためには薬物療法は行われます。

このような症例において薬物療法を行う場合は下記のような注意が必要です。
患者と相談しながら、「どの症状に」、「どういった目的で」薬剤を使用するかを明確に設定し、「治療における薬物の位置づけ」を意識して説明する必要があるでしょう。
患者が自身でセーブできると考えると、上記の様に乱用に繋がってしまいます。


b

DSM-5において「反社会性パーソナリティ障害は慢性の経過をとるが、加齢とともに、特に40歳までに病状が軽くなったり寛解したりすることがある」と記載されています。カプラン精神医学においても類似の記載がされています。


c、d、e

カプラン精神医学の記載を参照します。「患者が仲間の中にいると感じると彼らの変わろうとする動機付けの欠如が消失する」という点で刑務所よりも自助グループは障害を軽減する役に立つと記載されています。

また「治療が始まる前に、確固とした制限が不可欠である。…治療者は懲罰から制御を、また社会的隔離と審判から救助と直面化を切り離すという難問にまっこうから立ち向かう。」と記載されています。
懲罰的対応や審判は司法の役割であり、治療者は症状の制御を行う必要があるということです。よって、c、eは正しい選択肢となります。


非社会性(反社会性)パーソナリティ障害についての問題です。
この問題に関しては消去法で答えが導けてしまいます。直感的に、a,d が間違い、bは多分間違い、c,e が正解かなと思うでしょう。
実際にそれでも正答できますが別の項でも記載したとおり、専門医としてこれを機にパーソナリティ障害の知識を身につけるのが重要でしょう。

第9回 解答一覧

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